ywagashiのブログ

徒然なるままに

2021/3月に読んだ本

とうとう大学3年生になってしまった。何か目標を持って頑張りたい。

 

・理科系の作文技術(木下是雄/著)

言わずと知れた名著。入学前に一読して以来本棚で放置していたが、あらためて目を通してみると、自分の経験も重なって、納得がゆく部分が多い。本書では、漢字の用い方からテーマの選定法まで、作文にまつわる勘所が満遍なく押さえられている。特に、pp.203~205にある、文章執筆の全般的な注意事項だけでも確実に頭に入れておきたい。今後は本格的なレポートに取り組む機会も増えるだろうし、やがては卒論も書かねばならない。実践の中で適宜この本に立ち戻り、自らの糧としたい。

・図説・標準 哲学史貫成人/著)

著名な哲学者やその思想について、それぞれ見開き数ページで解説されている。各哲学者の問題設定やそこに至る経緯がはっきりと述べられており、筋道を立てて論理を追うことができる。思想同士の関連や対立構造についても説明が丁寧なので、思想史の展開を立体的に把握する視点も養われるだろう。個人的に有難かった点として、近代以降の扱いが充実しており、おかげで今まで敬遠していた分析哲学の論点が何となく掴めた。現代哲学の難解な概念を明快に説明できる所が、著者の造詣の深さを物語っている。

西洋美術史入門(池上英洋/著)

最初に美術学の基礎、中でも美術と社会・文化の繋がりを探る図像解釈学(イコノロジー)を紹介し、続けて主要な芸術家や技法を取り上げながら西洋美術史をおさらいする。説明は的確だが、特に後半は教科書的でかなりあっさりしている。個人的に驚きがあったのは、印象派絵画の発端が色彩理論に裏打ちされた実験的試みであったという点。美術を真に理解するためには、視覚的な情報だけで満足せず、様々なバックグラウンドにも思いを巡らせる必要がある。娯楽が発達した現代において、美術が確固たる地位と人気を保っていられるのは、そういう知的な奥深さがあるからだろう。美術館に足を運んでみたくなる一冊。

 ・ウォール街の物理学者(ジェームズ・オーウェン・ウェザーオール/著、高橋璃子/訳)

経済物理学の発展の歴史をドラマティックに描いたノンフィクション。経済物理学は二つの学問の接点に誕生したユニークな分野であり、モデル化→実証といった物理学の理論構築の手法を応用し、経済現象を解明することを目的とする。ファットテールやブラック・ショールズなどお馴染みの話題から、ゲージ理論を物価指数の算出に応用する話などもあって、なかなか興味をそそられた。著者は物理学者なので、理論面の詳しい解説を期待したが、その辺りは控えめであった。ちゃんと中身を見てから買おう。

 

最近は似たような本ばかり読んでいて少しマンネリ気味。
4月は少し趣向を変えてみたいと思う(思うだけ)。

図説・標準 哲学史

図説・標準 哲学史

  • 作者:貫 成人
  • 発売日: 2008/01/01
  • メディア: 単行本